Tetoria取手
サービス管理責任者 根本 智 様
就労継続支援A型事業所、Tetoria取手 責任者の根本様にお話を伺いました。
Q: A型就労継続支援Tetoria(テトリア)について教えてください
A: Tetoriaの特徴は、より一般就労に近い生産活動を行うことができるところです。他の就労継続支援事業所では箱折やボールペンの組み立て等の軽作業を中心とした作業を行っているという光景をよく見ます。
本来、就労継続支援事業所とは主に障がいをお持ちの方を対象に就労の機会の提供を行い、将来的な一般企業への就職を目指して就労に対するトレーニングを行う場所です。
軽作業中心の繰り返しで、就労に向けた能力が本当に向上するでしょうか?
Tetoriaでは、物流倉庫での作業、建築資材のクリーニング、PCのデータ入力等一般企業から頂いた作業を実際に行うことにより一般企業への就労に向けたしっかりとしたトレーニングを受けることができます。
軽作業中心の事業所よりは作業的にはキツイかもしれませんが、そこはサービス管理責任者を中心とした職員が福祉的なサポートも行いながら作業に従事できますので、安心して利用していただくことができます。
Q: いつから就労支援に関わるようになりましたか?
A: 約8年前、北海道にいたまだ32歳のころです。就労支援の業界を目指していたというよりも、偶然のタイミングでした。
営業職を経て、介護老人保健施設の事務職をしていたのですが、持病の椎間板ヘルニアが悪化したことがきっかけで辞めざるを得なくなり、長期の療養生活になりました。
体調がだいぶ良くなったころに母校の大学の監督から、所属していたラグビー部の指導者にならないかと誘われました。外部コーチとして指導を始めたころに、同じく外部コーチで来ていた私の先輩が就労支援をやっていて、その方に誘っていただきました。
当時はラグビー指導と就労支援の二足の草鞋を履いていました。
Q: 2022年5月の立ち上げから約2年、現在の感想を教えてください
A: 地元茨城とはいえ、出身の水戸と違う取手という土地勘や人脈がないところでのスタートで、最初は大変なこともありました。同業者の方とのネットワークを作る、我々のことをまず知ってもらうことが一番苦労した部分です。
今では徐々に地元のコミュニティ、企業のみなさんに認知・理解をいただけたことで紹介なども増えてきていますが、立ち上げ当初は自力で利用者さんを集めなければならなかったので、一筋縄ではいかなかったですね。
A: 全国の自治体によって障がいの線引きをするレベルが異なるのも一因だと考えています。
札幌の事業所にいたころは、一般の方とほぼ変わらないような方が軽度の障がいと認定され利用者さんとして来てくれるケースが多かったです。そのため、新しい仕事が入ってもすぐに切り替えて業務を始めてくださっていた印象です。
Q: Tetoria取手を運営していて、やりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか?
A: 利用者さんの成長を目の当たりにしたり、「成長する力を持っているんだ」と実感する時ですね。
作業自体ができるようになるだけではなく、利用者さん本人の気持ちが乗って、やってみてよかったという言葉を聞いた時は、我々にとってもやりがいを感じますし、やっていることが間違っていないと思わされます。
個人の適性や業務との相性などもありますので、途中で飽きてしまったなど、改善が必要な時には面談などでじっくり本人から話を聞き、モチベーションを作ってあげることも大事にしています。
Q: 障がいについての認識はどのように変化がありましたか?
A: 障がいを持っている、そうでないかで人は変わらないと思っているので、難しく考えないようにしています。
障がいを持っている方には特別な接し方をしようなど、先入観を持っていれば逆にコミュニケーションが取りにくくなると感じました。
人間と人間のコミュニケーションということに変わりはないので、まずは相手に私自身のことを知ってもらうことを心掛けています。この人はこういう人間なんだと少しずつ話せる相手、信用できる相手になりたいと思って普段接しています。そのおかげか、これまでそういう関係において苦労をしたという点はほとんどありません。
悩みを打ち明ける、話して気が楽になるというのは私と利用者さんの間で上手くコミュニケーションをしていけば、その関係が良い方向に転ぶと思っているので、特に障がい者という意識はしてないです。いい意味で友達の延長線にいる存在です。
最近はSNSやメディアで「障がい者」というキーワードはよく出てきますが、実際に関わりを持つ方は少ないと思います。世の中は「障がい者を理解しましょう」という流れになってはきていますが、まだまだ足りない部分がたくさんあると感じます。
偏見や先入観に直面した時に自信を失ったり、自分を否定してほしくありません。利用者さんとはそういう話をしながら、“自信を持って自分と向き合うということが重要”という考えをよく話し合っています。
Tetoria取手にいることで、利用者さんが生きるヒントをどんどん見つけてほしいです。社会に出た時に悲観的にとらえないよう、力を付けてほしいですね。
外の世界に待ち受けている「社会」に圧倒されないように、就労支援での経験を通して何かひとつでも人生に大事なものを得てもらいたいです。
Q: 施設内での作業内容を教えてください
A: リサイクル品を利用者さんがクリーニングしたり、家電の場合は機能に問題がないかを確認するなどして販売できる商品の状態にして、インターネットで出品してます。リサイクル品は無償でいただくことが多いです。
古着を売ってるクライアントさんと契約して同じような作業をし、出品することもあります。
パソコンとスマホはそれぞれ得意な方に出品作業をやってもらっています。クリーニングを担当する方もいれば、1から10までの一貫した作業を全て行う方もいます。なるべく多くの方が関われるように、簡単な軽作業だけできるように作業を細分化して用意することもあります。
このような作業は地元企業から請け負っています。企業も我々の利用者さんに向いてる作業に合わせて作業を準備して提供くださり、本来はミスを起こすのは良くないですが、もしミスがあった場合も「いつも頑張ってることを知っているから大丈夫だよ」と理解して労いの言葉をかけていただきます。
単純に作業を与える立場、請け負う立場だけなくお互いを理解していこうという思いを感じられることに感謝しています。
Q: 施設外ではどのような作業がありますか?
A: 物流倉庫の中での倉庫作業をはじめ、「地域の便利屋さん」のようなことも行っています。
いただいている内容の一例として、地域の不動産屋さんからのご依頼で契約に出す部屋の清掃業務や事務所のレイアウト変更、最近では動画編集を行っています。動画編集を担当している利用者さんはこの分野にすごく興味がある方で、本当に積極的に仕事をされていて、個人の適性と合致した仕事ができている気がします。不動産屋さんのTikTokアカウントでお部屋紹介のショート動画を公開していて、その動画制作などが主です。
自社の社員さん達で出来るような作業を、利用者さんの仕事として与えてくれるように配慮してくれることもあり、とても感謝していますし、実際に利用者さんの意識向上、業務スキルの発展にもつながっていると感じます。
コミュニケーションは苦手であっても動画編集のように一人で集中できるような特定の分野がすごく得意な方もいらっしゃるので、向いてる仕事を見つけてそれぞれの将来に繋ぐことにも力を入れていきたいと思っています。
Q: 利用者さんにどのように成長してほしいか、事業所としての展望を教えてください
A: 将来的に一般就労を目指す目指さないは本人次第ですし、もちろん希望したとしても叶わないこともあります。
でもいつか障がいを持った利用者さんが社会に出た時に、少しでも自信を持って、社会に溶け込むことができるように就労支援で業務以外でも生き方を学んでほしいです。
日々目標を持って通いたい施設であり続けたいですし、Tetoria取手を出てからも自分の味方でいてくれて心の拠り所になれるような存在として認識してもらいたいです。
会社名 | 合同会社An |
事業所名 | 就労継続支援A型事業所 Tetoria取手 |
開設 | 2022年5月 |
サービス管理責任者兼管理者 | 根本 智 |
ホームページ | https://tetoria-support.jp/location/toride/ |