「障がい者雇用をすることになったけれど、どうやって業務を切り出せばいいのかな?」と悩んでいませんか?実際に調べてみてもどうやればいいのか具体的にイメージがしにくいですよね。
そこでこの記事では、障がい者雇用をするうえでの業務の切り出し方法を紹介します。失敗するリスクや切り出しの事例も紹介します。障がいのある方への業務の切り出しで悩む場合は、参考にしてみてください。
障がい者雇用をするうえで業務の切り出しに失敗すると?

障がい者雇用をするうえで、業務の切り出しを失敗してしまうリスクは以下の3つです。
- 障がい特性に合わない仕事をさせられてしまう
- やりがいを感じられなくなってしまう
- 社内ニートになってしまう
それぞれどのようなリスクがあるのか、詳しく解説します。
障がい特性に合わない仕事をさせられてしまう
業務の切り出しが障がいの特性に合っていないと、当事者が苦しい思いをしてしまいます。企業にとっても気持ちよく働いてもらえないため、互いに良い思いはしないでしょう。特に企業が障がい者雇用率の達成だけを考えてしまう場合、とりあえず仕事を与えようと考えがちです。
そうなってしまうと障がいのある方は、継続的に働くのは難しいと判断してしまいます。結果的に離職になり、また最初から採用活動をしなければいけません。障がい者を雇用することに集中してしまいがちですが、定着のために業務整備などをしていく必要があります。
やりがいを感じられなくなってしまう
障がい者は単純作業しかできないだろうという思い込みがあると、業務幅を狭めてしまう可能性があります。障がいのある方も成長の機会を得られず、やりがいを感じられなくなるでしょう。
「障がい者=単純作業しかできない」という固定観念を捨てましょう。例えば、事務の場合は、業務を細かくして1動作ごとに分解してマニュアルを作ることで、少し複雑な業務でもできる可能性があります。
詳しい切り出し方については「障がい者雇用における業務の切り出し方」も参考にしてみてください。
社内ニートになってしまう
社内ニートは採用をしたものの仕事を与えられず、社内で対応することがない状態です。だれでも働きに来たにもかかわらず、なにも業務を与えらえなければやりがいを感じられません。また1人だけ仕事をしていない状態になり、周りの目を気にして孤独感を感じるようになってしまいます。
結果的に自信を失うことになるでしょう。社内ニートにならないように、計画的に業務の切り出しをしていく必要があります。
障がい者雇用における業務の切り出し方

障がい者雇用における業務の切り出し方は、以下の3ステップとなります。
- どの部署で働けそうか考える
- 業務をすべて洗い出す
- どの業務を対応してもらえそうか精査する
それぞれ詳しく紹介します。
1.どの部署で働けそうか考える
まずはどの部署で障がい者を雇用して、働いてもらえそうか考えていきましょう。選定するときには、全部署の業務の洗い出しをするのがおすすめです。やみくもにどこで働いてもらうか考えても、全体像が見えていなければ最適な部署を選定するのは難しいでしょう。
ただし、細かく洗い出す必要はありません。あくまでも全体が見える程度で問題ありません。
全体像が見えたところで、比較的分解しやすい業務・外部に依頼している業務などがあるかチェックしていきます。どのような業務が実際依頼しやすいのか迷ってしまう場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:障がいのある方でも対応できる仕事とは?データをもとに解説
2.業務をすべて洗い出す
部署が決定したら、業務をすべて洗い出しましょう。なぜなら障がいの度合いやその人の特性などによって、業務のできる・できないは変わってくるためです。業務はざっくりではなく、作業をイメージできるくらいまで細かく洗い出してください。
例えば営業という業務がある場合、資料作成やテレアポをする、メールを配信するまで分解します。そこからさらにテレアポであれば、企業を調べるやリスト化する、電話をかけるなどに分けていきましょう。
3.どの業務を対応してもらえそうか精査する
洗い出しが終わったら、どの業務に対応してもらえそうか精査してください。精査の際には、どこからどの範囲を任せるのか考えておきましょう。あいまいにしてしまうと、障がい者もどこまでやればいいのか迷ってしまいます。
どの業務をお願いするか決まったら、実践していきます。実践したのちに課題などが出てくるため、改善していってください。
障がい者雇用でうまく業務を進めるコツ

障がい者雇用でうまく業務を進めるコツは、以下の4つです。
- 担当者を設置する
- マニュアルをきちんと作る
- 障がい特性を理解する
- すぐに成果は出ないことを理解する
それぞれ詳しく紹介いたします。
担当者を設置する
業務をお任せするときには、担当者を設置しておきましょう。担当者がいない状態だと、雇用した人も分からないことを誰に質問すればいいかわかりません。結果的に、業務に手が付けられないような状態になってしまいます。
ストレスもたまってしまうので、離職につながってしまう可能性があります。担当者を置いて、相談ができる時間を定期的に設けましょう。
マニュアルをきちんと作る
マニュアルを作ることも忘れないようにしてください。マニュアルは、1つひとつの手順を細かく分解します。業務を分解したときに、一緒に作っておくのもおすすめです。
障がいがある場合、文字だけの情報だと頭にインプットしにくいこともあります。そのため、画像や動画などを活用したマニュアルも用意しましょう。障がいのある方が迷わないように、業務開始までには作っておいてください。
障がい特性を理解する
障がい特性をきちんと理解していきましょう。採用する人事だけが障がい特性について理解しているパターンはあります。しかし実際に働く現場の従業員が理解しておかなければ、トラブルに発展しやすくなるため注意が必要です。
例えば、作業を間違えていたため、普通に注意しようと思って話しかけたとします。しかし、その方は言葉だけでの指示は理解しにくい特性を持っていたら、すぐに修正するのは難しいでしょう。特性を知ったうえで対応できれば、意思の疎通もしやすくなります。
すぐに成果は出ないことを理解する
障がいのある方の中には、新しいことを覚えたり、慣れたりすることが難しいと感じる場合があります。適応力は障がい特性などによって異なります。すぐに成果を求めてしまうと、ストレスを感じてしまい離職につながることも。
ポジティブな声掛けをして、モチベーションアップを図りながら、無理のないペースで業務に慣れていってもらいましょう。
障がい者人材マッチング「ロジコネクト」の業務切り出し例

はたらぶの姉妹サイトであるロジコネクトでの切り出し例を紹介します。ロジコネクトでは、業務を切り出す際に以下の順序で切り出しを実施しています。
- 課題・業務の洗い出し
- 業務の手順を1つの動作ごとに分解する
- マニュアルを作成する
- 実際に研修をして稼働をしていく
切り出しをするだけで終わりではありません。実際に業務を始めても、つまずいてしまうことがほとんどです。しかし、そこを諦めずに障がいのある方とコミュニケーションを取りながら、業務の改善をしていくことで定着へとつながっていきます。
短期的に成果を出すことを考えずに、根気強く障がいのある方と向き合っていきましょう。
ロジコネクトでは障がいのある方と企業をマッチングするサービスを展開しています。障がい者雇用のファーストステップとして、ぜひ検討してみてください。気になる方はお問い合わせからご連絡ください。
まとめ

障がいのある方への業務の切り出しで失敗してしまった場合、特性に合わない仕事をさせてしまったり、社内ニートにさせてしまったりします。障がいのある方がうまく働けない状態が続いてしまうと、離職につながってしまうため注意が必要です。切り出し方が分からない場合は、今回紹介した手順と事例を参考にしてみてください。
障がい者雇用は、ただ業務を分解すればいいというわけではありません。雇用してからもサポートが必要です。継続的にサポートをしながら、障がいのある方が働きやすい職場を作っていきましょう。